“死にゆく街”、チヴィタ

生き残ろうとする天空の街

ローマから北へ約110キロ、ヴィテルボ県に位置する丘陵都市チヴィタ・ディ・バーニョレージョ(”チヴィタ”)。私の住むオルヴィエートからは21キロ、車で約30分の距離なのでローマから日帰りでオルヴィエートとチヴィタを回るのがポピュラーな観光ルートとなっています。

チヴィタは2500年以上前にエトルリア人によって築かれた歴史の古い街。でも数世紀にわたる地震と地滑りにより、チヴィタの建っている火山性の柔らかい土台が削られ、街は年々縮小化、中世には、この台地は現在の3倍の広さがあり、3千人以上の人々が住んでいたとのことですが現在の人口はたったの8人(夏季には12人)。猫の”住民”人口の方が多いとか。地震や雨風の浸食により、さらに崩壊が進んでいるチヴィタ、”La città che muore””(“死にゆく街”)と呼ばれている由来です。 

チヴィタへの架け橋がある反対側のバーニョレッジョの展望台に立つと眼前にあっと驚く風景が広がります。その壮大な風景はまるでグランド・キャニオンのよう。1995年に架けられた300メートルもある橋(徒歩のみ)を渡ると街中はまるでおとぎ話の世界。街中にあるのは教会、広場、数件のカフェとレストランのみですがの花に囲まれた美しい街並みを歩くとその悲壮な歴史と運命は感じさせられません。

このチヴィタの神秘的な美しい風景に惹かれ、旅行シーズンに訪れる世界各国からの観光客は1日1万人だとか。

このチヴィタの神秘的な美しい風景に惹かれ、旅行シーズンに訪れる世界各国からの観光客は1日1万人だとか。過剰な観光からチヴィタを守るために力を入れているのが橋もとにある姉妹都市、バーニョレッジョ。チヴィタ住民とチヴィタの観光産業を観光からの税収入で支えています。2017年にはユネスコの世界遺産登録に申請、2022年の世界遺産委員会のイタリア候補に。地質学的には滅びつつあるけれどチヴィタは”死にゆく街”となることを拒否していると言われている今。その運命は?

イタリアでは2600以上の街が過疎化しているとのこと。チヴィタの運命を自分のことの様に見守っているに違いありません。

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