トロペアの赤い玉ねぎ

2021年イタリアの最も美しい村、トロペア

”2021年イタリアの最も美しい村” (I Borghi più belli d’Italia)に選ばれたトロペア。サイトの説明によるとティレニア海の真珠とも言われるトロペアは”海、太陽、芸術、文化、建築、美食、おもてなしの素晴らしい組み合わせ” でこの賞を受賞したそうです。

海岸から60メートルもの崖壁の上に立ち、古代の路地から望む海の壮大な景色はそれこそ見もの。交通の便が悪く(悪いというよりないに等しい)観光ルートから外されているカラブリア州、すぐ北のカンパニア州、アマルフィ海岸の華やかさはありませんがアマルフィ海岸ほど観光地化されていないのでトロペアは秘めたリゾート地だと言えるでしょう。

この街を訪れたのがちょうど三月下旬、カラブリア州ではアーモンドやスモモの花が満開の時期です。 トロペアのすぐ隣町、フィラデルフィア(FILADELFIA)へ寄った時に道端の屋台に山ほど積まれていたのがこの紫色のネギ。私がイタリア産の野菜と恋に落ちた最初の相手で、名前はイタリア語でチポーラ・ロッサ・ディ・トロペアと言います。つまり”トロペアの赤い玉ねぎ”。

このネギは美しいカラブリア州の沿岸都市トロペアの周辺で中世の頃から栽培が盛んになった特有の玉ねぎ。普通の玉ねぎよりはるかに甘さが強く、辛味はマイルドですが独特な爽やかさのあるアロマが感じられます。地元の人によると良いトロペア玉ねぎはりんごみたいにして食べられるのだとか。

私は生のガーリックやネギ類はアリウムアレルギーで食べられないのですがトロペア玉ねぎは別で、生で食べても全く平気。トロペア玉ねぎのスライス、或いはみじん切りを上質なオリーブオイルのドレッシングと共にサラダ菜とあえると素晴らしくデリケートなサラダになります(トロペア玉ねぎの美味しさを味合うためにはシンプルな方がベター)。

イタリアの市場で何時も真っ先に探すのがこのトロペア玉ねぎ。普通の玉ねぎの2倍ほど値段が高いのですがその価値十分あり。他の野菜類と同じくシーズンにしか売っていないので店頭に顔を出すと大喜びです。トロペア玉ねぎの美味しさを味わいながら美しいトロペアの街と真っ青なカラブリアの海を思い浮かべます。

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