イタリアのロング・セラー、アペ

街を飛び回るミツバチ三輪自動車

イタリアの田舎へ行かれた事のある方は見覚えあるかと思いますが、発売から75年経ってもまだ健在のオート三輪車、ピアッジョ・アペ。 鮮やかな色のアペが土の入った袋や庭木などを後ろに積んでトコトコと田舎の坂道を登って行くのを見ると、その可愛らしさに思わず、”頑張って”と掛け声をかけてあげたくなります。

ピアッジョ社と言えばヨーロッパ最大のオートバイ製造業社、あの有名なスクーター、ヴェスパを製造する老舗の会社。戦後の貧しいイタリアで自家用車が持てなかった多くの国民の為にこのピアッジョ・アペが開発されました。1948年販売当時はヴェスパの後ろに2輪と台をつけたもので”ヴェスパ・カー”、或いは”トリ・ヴェスパ”と呼ばれていたそうです。その後、運転手の安全を考慮して両サイドにドアがついた運転台が設置されました。基本的にアペは1人乗り使用ですが小柄であればどうにか2人乗れるので(ぎゅう詰めですが)、よく夫婦、或は親子で乗っているのを見かけます。中の居心地はどうかしら?

アレッツォの骨董市で、アンティーク家具をピックアップし配達するアペ。 市街地には車やトラックは入れないので、とても便利です。

”アペ”とはイタリア語で”蜂”の意味、つまりあちらこちらを蜜蜂のように”ブーン、ブーン”と音を出してこまめに走り回るから。オルヴィエートの旧市街の中をそれこそブーン、ブーンと唸って走り回るアペは50ccエンジンが主流で、街のスーパーやパスタ屋さん、そしてガラクタ回収屋さんまで、アペに頼りきりです。50ccのエンジンで最高時速は大体、60km・hだそうですが、重い荷物を積んだらスピードが全く出ないのでアペは”遅くて申し訳ない、追い抜いてね”とでも言うように、道の横にピタッと沿う様にして走ります。

アペは蜂のようにブンブン唸りながら、ジャンクを乗せてオリヴィエートの街中を元気に走り回ります。

フロントガラスには 金属もOKと書かれていて、おもちゃの飾り物でいっぱい。

外国の運転免許・国際免許でイタリアでは法律的に運転出来なくなった時は”バイクの免許を取って車の代わりにアペを運転しよう”と本気に考えたことがありました。奇跡的にもイタリアの普通自動車運転免許を取得したのですが、園芸用品やちょっとした道具などを運ぶのに中古のアペが欲しいなあと思いを馳せているところ。しかもイタリアのトマトみたいに真っ赤なアペが蜜かれば最高!

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