天国への道は2メートル?

天国への道はこの先真っ直ぐへ

オルヴィエートの蜘蛛の巣のように張り巡らされた中世の通りを散策していると、素敵な名前の通りに出会います。例えば、via delle donne (女性たち通り)、via del pozzo bianco (白い井戸通り)、viccolo degli orti (果樹園通り)、その他、私的な名前がさまざま。オルヴィエートの旧市街を歩く楽しみの一つは、これらの通りの名前に出会うたびにその由来を想像すること。

Orvieto map (Orvietovia.com)

街外れにあるこの細くて短いこの道の名前は「ヴィア・デル・パラディーゾ」、すなわち天国(楽園)への道」。立ち止まって壁に掲げられた道路標識を見ると、「道の幅2メートル」のサインと真っ直ぐの方向を示す矢印が。 つまり、真っ直ぐ行くと「天国への道」、そしてその幅は狭い(2メートル?)ということ? では早速、真っ直ぐ歩いてみなくては。

はっと頭に浮かんだのは私の好きなフランスの小説家、アンドレ・ジイドの著書『狭き門』のタイトル。 マタイによる福音書7章7-13-14節の「狭き門」の聖句。

「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない。」    (マタイによる福音書7章13~14節)     

聖書には天国(楽園)への道の幅 (2メートル?) とは記されていませんが、この狭い静かな道を歩くと、とても穏やかな気持ちになります。春には量壁面に花が咲き乱れ、まさに楽園に足を踏み入れたような気分に。

日々の旧市街ののんびりとした散歩。いつかオルヴィエートの街をぶらぶら散歩する機会があったら、家々の壁に貼ってある通りの名前の看板に注目して下さいね。きっと中世の詩のメドレーが貴方を楽しませてくれることでしょう。

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